古事記が語り継ぐ、上代日本語の霊力 主婦之友元編集長・武蔵野大学講師原山建郎氏
7月25日の日本賢人会議所月曜セミナーでは、主婦の友社で編集長や役員を務め、その後大学で15年間教えてこられた原山建郎氏に「なぜ「古事記」が編まれたのか」をテーマに講演いただきました。
「日本書紀」がフォーマルに編纂された王朝の歴史書で、漢文で記し中国や朝鮮半島においても読まれることを想定されていたのに対し、「古事記」は天武天皇が子々孫々に読ませたいと考えたインフォーマルな内部文書であったのではないか。そのため天武天皇と稗田阿礼チームにとって、高天原、中つ国、黄泉の国の間で展開される躍動的な物語のモチーフを構想し、さまざまな伝説や歌謡の「ことば(うた)」で語り継がれてきた「やまとごごろ(日本人の心性)」を編み込むためには、漢字の音を借りて訓読する「日本語(やまとことば)」読みの手法、話しことばとしての「ひらがな」がどうしても必要だった、とのお話でした。
また、ことばのちから「言霊」についての様々な側面からの興味深い解説に加え、天皇陛下が阪神淡路大震災や東日本大震災の被災者にお心を寄せて詠まれた御製や独学で学んだ琉球語で詠まれた琉歌も紹介されました。
皇太子時代(1975年)、初の沖縄訪問の際の琉歌
花よおしやげゆん 人知らぬ魂 戦ないらぬ世よ 肝に願いて (ハナユウシヤギユン フィトシラヌタマシイ イクサネラヌユユ チムニニガティ)
8月は月曜セミナーをお休みして、次回は9月26日月曜日17時に開催予定です。